宜野湾市立志真志小学校(4クラス:115名)
沖縄本島(那覇市)の南西方およそ300km、飛行機で約45分の離島、宮古島。宮古群島は宮古島、池間島、大神島、伊良部島、下地島、来間島、多良間島、水納島の大小8つの島からなり、中でも宮古島が最も面積の広く、平坦でなだらかな台地状になっている島です。
東洋一美しいといわれている全長7kmにも及ぶ、白い砂浜と水平線まで続く青いグラデーションの海がとても美しい「与那覇前浜ビーチ」をはじめ、世界屈指の透明度を誇る
ビーチが数多く点在する人気の観光スポットとして有名な宮古島。
また、ミネラル豊富な南国の気候を活かし日本有数のマンゴー生産地であり、サトウキビの生産量も沖縄県全体の約40%を占めています。
今回はこの宮古島北部に位置する西原地区に、11月8日から3日間、宜野湾市立志真志小学校の5年生の児童・教員123名が訪れ、島の人々や自然との触れ合いを通して離島の魅力を知り、沖縄本島と離島との交流促進により地域の活性化を図りました。
■入村式の様子
「志真志小学校5年生の皆さん、いろいろな体験を通じて沢山の思い出を作ってください」那覇空港から宮古島空港に向かう飛行機で客室乗務員の皆さんから素敵なサプライズアナウンス入り、子供たちから大きな歓声が上がりました。
約45分のフライトの末、空港についた子供たちは民泊などでお世話になる西原地区の皆さんがいる「宮古島市西原地区公民館」へ向かいます。
公民館に到着した子供たちへ、西原地区の皆さんが「ようこそ、西原へ」と満面の笑顔でお出迎えを頂きました。
公民館の敷地内で行われた入村式では、5年2組の仲村紅姫さんと漢那宗翼くんが司会を務め「西原地区の皆さん、こんにちは」という2人の明るい挨拶を皮切りに入村式が開始されました。
西原地区を代表して長崎静江さんより「3日間おじぃおばぁと楽しい思い出を作ってください。体験もたくさん準備しておりますので、体に気をつけて元気よく楽しんでいきましょう」と挨拶を頂き、宮古島観光協会の大嶺星道さんからは「宮古島には素晴らしい自然や文化・歴史がありますのでぜひ楽しんでください。そして西原地区の方は少々恥ずかしがり屋なところもあるので、積極的に質問をしてくださいね」と子供たちへ語りかけて頂きました。
入村式が終わると、子供たちは元気よく各民泊先へ駆け寄り積極的に自己紹介を行っておりました。西原地区の皆さんもワクワクした表情を見せながら、事前に送られていた児童達の写真付きプロフィールを確認致します。
-民泊は男女別で4名~6名が1グループとなり、各組6グループの計16グループに分かれて民泊体験を行いました。
■潮干狩り体験
民泊のグループに分かれた後、子供たちが訪れたのは世界屈指の透明度を誇る宮古島の海。
平成27年1月に開通した伊良部大橋と水平線に沈む夕日とを一望できる絶景ポイント「トゥリバーサンセットビーチ」や地元民がよく訪れる宮古島の穴場スポット「間那津海岸ビーチ」、池間島へ向かう途中にある「大浦湾」、宮古島の市街地に隣接する「パイナガマビーチ」など様々なビーチに分かれ、潮干狩り体験を行いました。
真っ白に広がる砂浜と透明度の高い海を目の前にした子供たちから「わぁーきれい」「こんな海見たことない」と歓声を上げる場面も。
子供たちはシャベルを片手に黙々と砂を掘り起こし、食用貝を見つけると「こっちはよく採れるよ」と別グループの同級生に声をかけたり、「採れた!」と自分の採った貝を西原地区の皆さんへ自慢する様子も伺えました。
■民泊体験
宮古島で最も歴史の深い集落・狩俣集落で民泊体験をした5年4組男子2班の仲里晟太郎くん、松田和士くん、松良侑良くん、伊波勇槻くん、稲嶺竜琥くんは、漁師の新里秀男さん宅でクラフト体験を行っていました。
部屋いっぱいに飾られる様々な形や大きさの貝殻と彩り豊かな琉球ガラスを使って、自分の名前や魚の形を作り、クラフト体験を楽しんでいました。
夕食は漁師の新里さんがこの日の為に釣った50~60cmほどある「真ダコ」を刺身、天ぷらにして堪能します。先生が「料理のお手伝いするんだよ」と子供たちに告げると「はーい」と元気よく手を上げていました。
続いて、「こんな機会じゃないと外に出る機会がないので、毎年の子供たちの民泊を楽しみしているの」今年で5年目の民泊受け入れを行う仲宗根勝子さんはとても穏やかな表情でお話して下さいました。
仲宗根さん宅に民泊した5年1組女子1班の高良瀬莉さん、新垣珠希さん、宮平明心さん、天久瑠夏さん、中尾次楓さんは、畑仕事もお手伝いした様子で「何かお手伝いすることはありますか」と緊張しながらも積極的に声をかけている様子が伺えました。
続いてお邪魔した兼本ツル子さん宅でも、夕食の準備をしておりました。
「子供は宝。おもてなしの精神でお迎えしたい」と子供たちの大好きなカツカレーと
伊良部島で購入した新鮮な「マグロ」を刺身と天ぷらに揚げていました。
料理をしているそばで「美味しそう」と近づく子供たちに「あともう少しだからね」とコミュニケーションを楽しむ兼本さん。
子供たちもカレー作りをお手伝いし、初めて握る包丁に緊張しながらも「上手だね」と褒められると顔を赤らめ嬉しそうな表情を浮かべておりました。
その他、沖縄県の天然記念物・宮古馬を飼育する牧場「宮古馬牧場」にて飼育体験をした子供たちは餌やりに苦戦しながらも最後まで諦めずに挑戦を続け、ようやく餌やりに成功すると「先生、やった!」とガッツポーズを見せてくれました。
宮古島の美しい自然や食を体験し、西原地区の皆さんの深い優しさに触れた子供たちの顔つきも成長したように感じました。
■西原地区集落散策
2日目は、西原地区で集落散策を行いました。
集落には、7箇所のポイントがあり各ポイントに配置されているスタッフへ事前に渡されていている質問表通りに質問し、答えを記入していくゲームです。
集落散策前には、西原地区の仲間忠さんが地域の歴史について「もともとは池間島から佐良浜に移民し、池間島や佐良浜などから西原地区にきました。それぞれがウハルズ神さまを連れて移民してきたのでこの3地区にはウハルズ御嶽があり航海に出るときには必ず拝んで行きます。池間、佐良浜、西原の人たちは池間民族なんですよ」と説明を頂きました。
その後行った子供たちの作戦会議では、「どこからまわるか」「この漢字なんて読むの」などお互いで確認しながら進めていました。
宮古島市西原地区公民館から勢いよく出発した子供たちは地図を広げ、足早に最初の地点へ向かいます。
快晴広がる空の下、タオルで汗を拭いながらも民泊体験した話に花を咲かせる子供たち。
「僕たちはサトウキビを刈ったよ」「玉ねぎを植えたよ」「拾った貝で味噌汁作ったよ」初めての体験に素敵な思い出を作った様子の子供たちでした。
ポイントの中には、創業53年になる老舗のお豆腐屋「石嶺豆腐店」や「仲間御嶽」「旧公民館」等主要な場所を巡りながら西原地区の歴史について更に学びを深めた子供たちの様子が伺えました。
散策中、地図の読み方が分からず立ち止まってしまったグループや間違ったルートに行ってしまったグループもおりましたが、無事全員ゴールをすることができ子供たちも達成感に満ち溢れた表情を見せてくれました。
散策終了後、感想を求められた子供たちは「宮古島をいっぱい知れて良かったです」と満面の笑みで答えていました。
■交流会
西原地区の方と更にコミュニケーションを深めようと交流会を実施しました。
交流会では、子供たちが事前に用意していた「宜野湾市の魅力」について新聞用紙を使って発表。「今度は私たちの住んでいる宜野湾市に遊びに来てください」と発表の最後を締めくくりました。
続けて、子供たちから西原地区の皆さんへ歌のプレゼントを行いました。
沖縄県出身のアーティスト・しおりさんの「Smile」をこの日の為に練習した子供たちに感動した西原地区の皆さんが涙する場面もありました。
交流会の最後は、宮古島に古くから伝わる民謡「クイチャー」に合わせて子供たちも西原地区の皆さんも1つの輪になり踊り、交流を深めました。
■事業を終えて
事業を終えて一番印象に残っていることは「子供たちの成長と地域の皆さんの笑顔」です。
西原地区の砂川キヨ子さんは「子供たちが民泊にくると一気に地域活性化になる。民泊を受け入れる前は夫婦間でのコミュニケーションも減っていたが、民泊を受けいれるようになり夫婦間のコミュニケーションはもちろん、地域との関わりも増え活動的になりました」と語ってくださいました。まさにこの言葉が事業価値を現していると感じました。
事業をずっと見守ってきた先生たちからは「様々な体験を通して成長した子供たちの様子を垣間見ることができた」「方言を一発で覚えたり、地図が読めたり、地域のことを理解していたりと子供たちに対しての新しい発見も多くあった」といった「子供たちの成長や発見」に対しての振り返りが多くあがりました。